2026.01.30
・トレッキングレポート

槍ヶ岳トレッキングレポート ~ 飛騨沢ルート一泊二日 ~

◇山の紹介◇

槍ヶ岳(やりがたけ)標高3,180m。

北アルプス(飛騨山脈南部)、長野県と岐阜県の県境に位置し、日本で5番目に標高が高い山。

通称「槍」と呼ばれ、その名の通り天に槍を衝くような山容が特徴で氷河が削りだした氷食尖峰が「日本のマッターホルン」という別名に繋がる。
日本百名山、また登山者憧れの山の一つである。

2024/07/31:常念小屋から見た槍ヶ岳
どこから見ても特徴的な山容

◇日程◇ 
2025年7月29日(火)、30日(水)

◇コース◇

槍ヶ岳登頂には3か所(上高地・新穂高温泉・中房温泉)からのアプローチ方法、さらに6つのコースがある。
今回は新穂高温泉を起終点とした最短距離の『新穂高(右俣)コース』(健脚者なら1日で槍ヶ岳まで登れる)で槍ヶ岳へ向かった。※mapbox YAMAP

mapbox YAMAPより歩いた軌跡

◇行程◇

1日目:標準CT10時間半

新穂高温泉→ 白出沢出会 → 槍平小屋 → 千丈分岐点 → 飛騨乗越 → 槍ヶ岳山荘 → 槍ヶ岳
行動時間:8時間57分、休憩時間:3時間52分、距離: 14.5km

2日目:標準CT 6時間半

槍ヶ岳山荘 → 千丈乗越 → 千丈分岐点 → 槍平小屋 → 白出沢出会 → 新穂高温泉
行動時間:7時間10分、休憩時間:1時間37分、距離: 12.5km
※行動時間、距離はYAMAP算出の値を引用

◇山行記録◇

■1日目■

◇ 5:30 新穂高センター
ここは槍ヶ岳や穂高岳、また笠ヶ岳や双六岳へ行くためのターミナル地点
出発から1時間ほどで穂高平小屋、そこからさらに1時間ほど整地された林道を歩く。

4:30 ぼんやりと山々が分かり始めた

今回のルートは上高地側から槍ヶ岳にアタックするよりも9㎞距離が短いが、標高差が大きい。

北海道から来たという70代のご夫婦は、この先の道中にある槍平小屋に宿泊し、のんびりと槍ヶ岳を目指すと言っていた。

◇ 7:27 白出沢
この沢を渡ると、本格的な登山道歩きがスタート。

登山道の途中、切り株を利用した可愛らしい顔が現れる。

⇐ 緊急避難石窟
小さな木の札に『避難場所につきキジ打ち等禁止』と書かれている。

【雉撃ち(キジ撃ち)】
…山の隠語で男性が野外で排泄することを指す。
用をたすためにしゃがむ姿が、茂みなど隠れて雉を打つマタギの姿に似ていることが由来。「大キジ(大便)」、「小キジ(小便)」
また、女性の場合の【お花摘み】は日常生活でも耳にする事があると思う。
こちらも用を足している様子が、お花を摘んでいる姿に見える事に由来する。

◇ 8:56 滝谷

今回のコースでは3か所の沢を渡ることになる。ここ滝谷はこのルートで唯一、常時流れのある場所であり、特に大雨による増水時には渡ることができなくなる要注意箇所。

私が通った日も数日前の鉄砲水により、ライブカメラと橋が流出した為に再架橋を行っていた
(写真右側、オレンジ色のヘルメットは槍平小屋のスタッフさん)。
※下山時には設置も完了していたが、約1週間後には再び流出。
過去の投稿からも度々再架橋されている様子をInstagramで見かけた。

◇ 10:10 槍平小屋

何年か前にお土産で頂いた槍平神社の登山安全お守り。
縁起が良く「勝ち栗」とされる地元飛騨の栗の木を使用。
飛騨の木工職人×元・山岳救助隊の神主×小屋主の父 が協力してできたお守り。

また、3代目小屋主のお父さんが紐を「エイトノット」でという命を守る結び方で結び、安全への祈りを込めているそう。
1つ800円(税込)、そのうち80円は「遭難対策基金」へと寄付されている。

写真右側、ブルーの紐が新しいお守り。
よく見ると、槍ヶ岳の様子がよりリアルに描かれている。

◇ 13:10 千丈乗越分岐
ここは下記写真のように救急箱がおいてあり、道中の槍平小屋の方が管理している。
Instagramを見ていると、槍ヶ岳へ向かう登山客に補充する内容物を託し補充を行っていることが分かった。

当初の予定では、写真左側の標識分岐を左へすすみ、千丈乗越を経由して槍ヶ岳山荘へ向かう予定であった。
同行者の疲労具合、また16時までに小屋へ到着することを優先して、比較的傾斜のなだらかな飛騨乗越ルートを選択した。

◇ 14:20 飛騨沢

突然目の前にライチョウ親子出現。ヒナの風切り羽も大きくなっている様子から、巣立ち後1.5~2週間ほどと推定。
二羽のヒナは登山道で優雅に砂浴びをし、人間にはまったく恐怖心・関心無し。親鳥は手を延ばせば触れてしまいそうな距離で植物を啄んでいた。

砂浴び中
砂浴びの跡

親鳥は特に岩との擬態が素晴らしい。
右の写真には親鳥とヒナも写っています。

◇ 15:22 飛騨乗越

ここで一度登りは終了。すでに疲労と達成感で胸いっぱい(笑)
少し槍ヶ岳山荘寄りに進むと槍ヶ岳がドンっと見え、遠くから見ていたほどのとんがりが無い事を知った。

◇ 15:40 槍ヶ岳山荘到着

山小屋で美味しそうな食べ物を見つけると、ついつい手が伸びる。
この槍クッキー、とっても美味しかったので
お土産としてもオススメ☆☆☆

◇ 17:00 槍ヶ岳登頂

槍の穂先には、上り45分で登頂。苦手な岩場、案の定身体がこわばって体が思うように動かせなく、同行者の方に手足の置き場を助言してもらいながらなんとか登頂。

穂先は想像していたよりも広く、いつも眺めていた槍ヶ岳のいるのはなんだか不思議な感覚だった。

◇ 18:30 夕食

この日は中華メニュー。とくに山で食べる食事は、モチベーションに関わってくるのでかなり重要なポイント。

◇ 18:50 日の入り

7月30日は日の入りが18:58なので早急に夕食を済ませ、日の入りを待機。
槍の穂先が夕日に照らされ、アーベントロートが見えた。

◇ 20:30 星空観賞

今回も天の川を確認、うっすら雲がかかっていたようで肉眼だと分かりにかった。。

■2日目■

◇ 4:30 日の出前の様子。

日の出は4:54だが、日が見える前もすでに空は明るい。
朝のキリっとした空気はより一層、日の光が綺麗に見える。

◇ 4:54 日の出

太陽が出てくる時間が近づくにつれ、小屋の外へでてくる人もどんどん増えてくる。

◇ 5:30 山荘出発

当初の予定は南岳・大喰岳を経由する下山ルートであったが、初日で使う予定をしていたルートに変更。
千乗乗越を経由するルートで下山。

地図で見ていたように、山々が繋がっている姿を自分の目で山の上から俯瞰してみているのは、山の立体模型を見ているようでいつも不思議な感覚になる。

前日通った、つづら折りの登山道が確認できる。

◇ 9:20 槍平小屋

槍ヶ岳山荘名物の【中華おこわ弁当】
茶封筒に書かれている御辯当という文字が歴史を感じさせる。

◇ 14:20 新穂高センター

無事に出発地点まで戻ってくることができた。
あまり炭酸飲料は好きではないが、今回ばかりはみんなが言う「下山後にコーラが飲みたい」を実感。
自販機にはもちろんたくさんのコーラが設置。
コーラうめぇ!!となりました(笑)

■登山客の服装やインバウンドについて■

中国、韓国、アメリカ、ヨーロッパ系と見られ、割合としてはが1割にも満たない人数。
韓国から来たという男性2人組はどちらもオスプレイのバックパック、服装もクラシカルな登山スタイルであった。アメリカの方は小学生くらいのお子さんと一緒に来ており、こちらもクラシカルな登山ルックでフリースはORを着用。この日のインバウンドではUL系に位置づけされるようなスタイリングの方は見かけなった。

滞在した日が平日ということもあり、今回もオーソドックスな登山スタイルが9割。バックパックはOSPREY を筆頭にmount-bell、GREGORY、OSPREYが大半を占めていた。ウェアではmount-bellがダントツの着用率、次いでTNFやColumbiaの着用率も高い。シューズではやはり、北アルプスのなかでも難易度が高いといこと等も関係してか、LA SPORTIVAの着用率が今まで歩いたことのある北アルプス(燕岳・常念・白馬)のなかで最も高かったように感じている。その他では前述したmount-bellをはじめ、SCARPAやcaravan、また服装はクラシカルであるが足元がALTRA(見かけた5名ともにOLYMPUS 6 HIKE GTX)という姿も見られた。

また、下山途中、登山道に人糞がされていた。一日目、登る際には見かけなかった。
ご丁寧にティッシュペーパーが掛けられていたが、風に吹かれてちらりと見えてしまいゲンナリ。ティッシュペーパーが自然に帰るものなのか、また登山道上ということや山の生態系保護等の観点から見ても非常にナンセンスであった。せめて土を掘って、人目のつかないように埋めてほしかった。

生理現象なのでしかたのないことではあるが、他の登山者・また自然への影響、またもしもに備えて携帯トイレの必要性について考えさせられた。

■総評■

行く前までは、槍の穂先に登ることができるか不安であったが無事登頂でき、また無事に下山し自分の山行記録をこのように残せて、とても有意義な経験であった。反省点としては穂先の登頂中、恐怖心から壁に身体を近づけすぎていたことが返って身体の動きが制限されてしまったこと。しかし、山頂からの下山時には少し恐怖心も消えてスムーズに下山で来たのではないかと思う。

この夏以降、山好きなお客様との会話のなかでも今回の経験は段違いにお客様の興味関心を引いているように感じる。SORA昭島店に来店する山ユーザーのお客様のうち何名かからは「SORAさんみたいなセレクトショップのスタッフが本当に?」といい意味でギャップが凄いそう。

このギャップは今後も私の武器として、実際にフィールドで弊社販売商品を使用したことで伝えられる情報をお客様に伝え、お客様の日常・アウトドアシーンを販売という形を通して役に立ちたい。

SORA昭島アウトドアヴィレッジ店・ スタッフ

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